No.0107

バフェットの投資手法ではアルファ創出が難しい局面に…
バフェットの商社株投資の意味は?

現代において、非ユークリッド幾何学を無視して、ユークリッド幾何学のみに焦点を当てた論文を書いたらどうなるか?あるいは、アインシュタインの相対性理論を無視してニュートン力学のみに焦点を当てた論文を書いたらどうなるか?歴史検証としては意味があっても、純粋数学的見地や純粋物理学的見地からは、ほとんど意味がないであろう。
ただ、非ユークリッド幾何学を学ぶ前提としてユークリッド幾何学を学ぶ意味は十分にあるし、相対性理論への歴史的発展を知る意味でニュートン力学を学ぶ意義は十分にある。
誤解を恐れずに言えば、私は、世の中でバフェットの投資手法と言われているものは、ユークリッド幾何学やニュートン力学に相当するような印象を持っている。知っていて当たり前の話だが、それを知っていたからと言って、現在ではもはや、有意なアルファリターン創出要因にはならないということだ。
だから、私は、バフェットの投資理論をいまだに忠実に守って投資を行っているファンドマネジャーがいるとしたら、そんな人に絶対お金を預けたくない。アルファ収益が出るはずがないと考えるからだ。
その中で、バフェットが率いるバークシャー・ハサウェイが、三菱商事、三井物産などの商社に投資を行った。その意味合いについて、色々な人が、様々な持論を展開している。資源株としての側面に注目する人もいれば、非資源の部分に着目して世界経済の回復の恩恵を狙っているのではないかという意見もある。私は、商社株投資が明らかになった直前に、同社が鉱山会社バリックゴールド社へ投資した点との相関の可能性を考えている。
なぜなら、現在は、FRB(連邦準備制度理事会)が、長期金利が明確に2%を超えるまで短期金利をゼロに維持する方針を示していることから、株、不動産、コモディティのような資産価格上昇の可能性が高まっていて、そのことが、私が4月の段階で株価に強気になった最大の理由であるからだ。別の言い方をすれば、米国債という、クオリティも流動性もピカピカの投資対象が、1%を切る低金利になったことで、歴史上初めてと言っていいほど、米国債の金利的な魅力が減退していると解釈できる。そのタイミングでこそ、魅力度が増す別の投資対象が出てくると考えたからだ。そして、その有力候補が、金利を生まないコモディティや仮想通貨ではなかろうか。そう考えると、商社株投資の合理性が浮き彫りになる。
ただ、この推論が当たっていようがいまいが、私にとってそんなことはどうでもいい。なぜなら、商社以外でも魅力的な投資対象は、日本株の中にいくらでもあるからだ。
なお、バフェットは、理解できる事業にしか投資しないと述べている。しかし、私の意見は、上場会社の事業は、「努力すれば」全て理解可能だと考えている。その点では、私は、バフェットの考えに賛同できない。

大木 将充